【理論】平成24年 問4|平行導体間に働く電磁力から電流を求める計算問題

真空中に,\( 2 \) 本の無限長直線状導体が \( 20 \) [cm] の間隔で平行に置かれている。

一方の導体に \( 10 \) [A] の直流電流を流しているとき,その導体には \( 1 \times 10^{-6} \) [N/m] の力が働いた。

他方の導体に流れている直流電流 \( I \) [A] の大きさとして,最も近いものを次の (1)~(5) のうちから一つ選べ。

ただし,真空の透磁率は \( \mu_0 = 4\pi \times 10^{-7} \) [H/m] である。

合格への方程式

平行導体間に働く電磁力の基本原理

電流が流れる導体は周囲に磁界を発生させます。この磁界は他の電流が流れる導体に力を及ぼします。これが平行導体間に働く電磁力の基本原理です。

基本法則

平行導体間に働く力は、次の法則に基づいています:

  1. アンペールの法則:電流により発生する磁界の強さを定義
  2. ビオ・サバールの法則:電流素片が作る磁束密度を定義
  3. フレミングの左手の法則:磁界中の電流に働く力の方向を定義

アンペールの法則

アンペールの法則によれば、電流から距離\(r\)離れた点での磁界の強さ\(H\)は次のように表されます:

\[ \begin{aligned} H = \frac{I}{2\pi r} \; [\mathrm{A/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

ここで、\(I\)は電流、\(r\)は電流からの距離です。

直感的理解

アンペールの法則は、導体を中心に同心円状の磁力線が存在することを示しています。水平に置いた導体に右向きの電流が流れる場合、上側から見ると磁力線は反時計回りに円を描きます。これは「右ねじの法則」として覚えることもできます。

磁束密度との関係

磁界の強さ\(H\)と磁束密度\(B\)の関係は次のように表されます:

\[ \begin{aligned} B = \mu H \; [\mathrm{T}] \\[10pt] \end{aligned} \]

ここで、\(\mu\)は媒質の透磁率です。真空中では\(\mu_0 = 4\pi \times 10^{-7} \; [\mathrm{H/m}]\)です。

フレミングの左手の法則

磁束密度\(B\)の磁界中を流れる電流\(I\)が長さ\(L\)の導体に及ぼす力\(F\)の大きさは次のように表されます:

\[ \begin{aligned} F = BIL \; [\mathrm{N}] \\[10pt] \end{aligned} \]

力の方向は、フレミングの左手の法則で判断できます。左手の親指、人差し指、中指を互いに直角になるように広げたとき:

  • 人差し指:磁束の方向(N→S)
  • 中指:電流の方向
  • 親指:力の方向

注意点

フレミングの左手の法則と右手の法則を混同しないようにしましょう。左手の法則は「力」を求める場合に使用し、右手の法則は「磁界」の方向を求める場合に使用します。

同方向に電流が流れる平行導体間の力

同方向電流による磁界

図1のように、同じ方向に電流\(I_a\)と\(I_b\)が流れる2本の平行導体を考えます。

電流\(I_b\)により発生する磁界の強さ\(H_b\)は、アンペールの法則より:

\[ \begin{aligned} H_b = \frac{I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{A/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

ここで、\(r\)は2本の導体間の距離です。

磁束密度の計算

空間の透磁率を\(\mu\)とすると、電流\(I_b\)によって生じる磁束密度\(B_b\)は:

\[ \begin{aligned} B_b &= \mu H_b \\[10pt] &= \frac{\mu I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{T}] \\[10pt] \end{aligned} \]

導体に働く力の計算

フレミングの左手の法則により、電流\(I_a\)の流れる導体に働く力は、\(I_b\)の作る磁束密度\(B_b\)との相互作用で生じます。単位長さ(1メートル)あたりの力\(F\)の大きさは:

\[ \begin{aligned} F &= B_b I_a \times 1 \\[10pt] &= \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{N/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

同方向電流の場合の力の方向

同方向に電流が流れる平行導体間には引力が働きます。これは、各導体が他方の導体の作る磁界内に置かれたとき、フレミングの左手の法則によって互いに引き合う力が生じるためです。

数値例

例えば、平行な2本の導体が0.1m離れており、それぞれに10Aの電流が同じ方向に流れている場合:

\[ \begin{aligned} F &= \frac{\mu_0 I_a I_b}{2\pi r} \\[10pt] &= \frac{4\pi \times 10^{-7} \times 10 \times 10}{2\pi \times 0.1} \\[10pt] &= \frac{4 \times 10^{-5}}{0.2} \\[10pt] &= 2 \times 10^{-4} \; [\mathrm{N/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

実用上の注意点

バスバーやケーブルのような大電流を扱う設備では、同方向電流による引力が機械的なストレスを引き起こす可能性があります。特に短絡電流のような大電流が流れる際は、この力が非常に大きくなり、設備の損傷を招くことがあります。

逆方向に電流が流れる平行導体間の力

逆方向電流による磁界

図2のように、反対方向に電流\(I_a\)と\(I_b\)が流れる2本の平行導体を考えます。基本的な磁界の計算は同方向の場合と同じです。

電流\(I_b\)により発生する磁界の強さ\(H_b\)は:

\[ \begin{aligned} H_b = \frac{I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{A/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

磁束密度と力の計算

磁束密度\(B_b\)も同様に計算できます:

\[ \begin{aligned} B_b = \frac{\mu I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{T}] \\[10pt] \end{aligned} \]

しかし、電流の方向が逆であるため、フレミングの左手の法則を適用すると、力の方向が変わります。単位長さあたりの力\(F\)の大きさは同じですが:

\[ \begin{aligned} F = \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \; [\mathrm{N/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

逆方向電流の場合の力の方向

逆方向に電流が流れる平行導体間には斥力が働きます。これは、各導体が他方の導体の作る磁界内に置かれたとき、フレミングの左手の法則によって互いに反発する力が生じるためです。

例題:斥力の計算

距離0.05mで平行に配置された2本の導体があり、一方には20A、他方には15Aの電流が反対方向に流れている。単位長さあたりの斥力を求めよ。

解答:

与えられた値:

\(I_a = 20 \; [\mathrm{A}]\)

\(I_b = 15 \; [\mathrm{A}]\)

\(r = 0.05 \; [\mathrm{m}]\)

\(\mu = \mu_0 = 4\pi \times 10^{-7} \; [\mathrm{H/m}]\)(真空中と仮定)

斥力の計算:

\[ \begin{aligned} F &= \frac{\mu_0 I_a I_b}{2\pi r} \\[10pt] &= \frac{4\pi \times 10^{-7} \times 20 \times 15}{2\pi \times 0.05} \\[10pt] &= \frac{4\pi \times 10^{-7} \times 300}{2\pi \times 0.05} \\[10pt] &= \frac{12 \times 10^{-5}}{0.1} \\[10pt] &= 12 \times 10^{-4} \\[10pt] &= 1.2 \times 10^{-3} \; [\mathrm{N/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

よって、単位長さあたりの斥力は1.2mN/mです。

応用例

逆方向電流による斥力は、短絡時に配電盤内のバスバーに大きな機械的ストレスを与えます。このため、バスバーの支持構造は短絡電流による斥力に耐えられるよう設計されます。また、この原理はレールガンなどの電磁推進装置にも応用されています。

応用と計算例

電流比較器の原理

平行導体間に働く力の原理は、電流比較器などの測定器に応用されています。二つの平行導体に流れる電流の大きさが等しければ、それらの導体間に働く力も等しくなります。

例題:三相バスバーの力計算

三相交流の三本のバスバーが互いに0.1m離れて平行に配置されている。各相に1000Aの電流(実効値)が流れている場合、最大瞬時力を求めよ。

解答:

三相交流では、各相の電流は120°の位相差があります。ある瞬間に、一つの相の電流が最大値\(I_{\mathrm{peak}} = \sqrt{2} \times I_{\mathrm{rms}}\)に達すると、他の二相はそれぞれ\(-0.5 \times I_{\mathrm{peak}}\)になります。

最大瞬時電流:

\[ \begin{aligned} I_{\mathrm{peak}} = \sqrt{2} \times 1000 = 1414 \; [\mathrm{A}] \\[10pt] \end{aligned} \]

他の二相の瞬時電流:

\[ \begin{aligned} -0.5 \times I_{\mathrm{peak}} = -707 \; [\mathrm{A}] \\[10pt] \end{aligned} \]

最大値の相と一方の-0.5倍の相の間の力:

\[ \begin{aligned} F_1 &= \frac{\mu_0 I_{\mathrm{peak}} \times (-0.5 \times I_{\mathrm{peak}})}{2\pi r} \\[10pt] &= \frac{\mu_0 \times 1414 \times (-707)}{2\pi \times 0.1} \\[10pt] &= \frac{4\pi \times 10^{-7} \times 1414 \times (-707)}{2\pi \times 0.1} \\[10pt] &= \frac{4 \times 10^{-7} \times 1414 \times (-707)}{0.2} \\[10pt] &\approx -2.0 \; [\mathrm{N/m}] \\[10pt] \end{aligned} \]

負の符号は斥力を示します。同様に計算すると、三本のバスバー間の合計力は最大約4N/mになります。

長距離送電線の設計考慮事項

長距離送電線では、導体間に働く電磁力が構造設計上の重要な要素となります。特に短絡時には非常に大きな力が発生します。

短絡電流による力

短絡電流\(I_{sc}\)は定常運転電流\(I_n\)の数十倍に達することがあります。力は電流の積に比例するため、短絡時の力は通常運転時の数百倍から数千倍になる可能性があります。

\[ \frac{F_{sc}}{F_n} = \left(\frac{I_{sc}}{I_n}\right)^2 \]

例えば、短絡電流が通常電流の20倍の場合、力は400倍になります。

導体の配置による影響

三相送電線では、導体の配置が電磁力に影響します。一般的な配置には、水平配置、垂直配置、三角配置などがあります。三角配置(正三角形)は、三相バランスが良く、電磁力の合計を最小化できる利点があります。

機械的強度設計上の注意点

バスバーや送電線の支持構造は、短絡時の最大電磁力に耐えられるよう設計する必要があります。支持間隔、支持構造の強度、導体自体の機械的強度などを適切に選定することが重要です。

特殊条件と発展

周波数の影響

交流の場合、電流の周波数は平行導体間に働く力に影響します。基本的には、瞬時値の電流によって瞬時の力が決まりますが、高周波になると表皮効果や近接効果も考慮する必要があります。

表皮効果と力の関係

高周波電流では表皮効果により、電流が導体の表面近くに集中します。これにより、実効的な電流経路が変わり、導体間に働く力の分布も変化します。

非平行導体間の力

実際の電力システムでは、導体が完全に平行でない場合もあります。このような場合、力の計算はビオ・サバールの法則を用いた積分計算が必要になります。

角度\(\theta\)で交差する2本の直線導体間の力は、平行時の力に\(\sin\theta\)を乗じた値に近似できます:

\[ \begin{aligned} F_{\theta} \approx F_{\mathrm{parallel}} \times \sin\theta \\[10pt] \end{aligned} \]

曲がった導体の場合

バスバーの曲がり部分や配電盤内の複雑な形状の導体では、各部分を微小な直線要素に分割し、それぞれの要素間の力を計算して合計することで全体の力を求めることができます。

磁性材料の影響

鉄などの強磁性材料が近くにある場合、磁束の集中により力が変化します。透磁率\(\mu\)が変わるため、力の計算には注意が必要です。

例題:磁性材料の影響

相対透磁率\(\mu_r = 1000\)の磁性材料に囲まれた環境で、平行導体間の力はどう変化するか?

解答:

磁性材料の存在により透磁率が変化します。真空中の透磁率\(\mu_0\)から\(\mu = \mu_r \mu_0\)になるため、理論上は力が1000倍になる可能性があります。しかし、実際には磁束の経路や分布も変化するため、単純な比例関係にはなりません。電磁界解析ソフトウェアなどを用いた詳細な計算が必要です。

超電導体の場合

超電導体では、通常の導体と異なり、磁束が内部に侵入しない(マイスナー効果)という特性があります。これにより、超電導導体間の電磁力は通常の導体とは異なる振る舞いを示します。

超電導バスバーのメリット

超電導バスバーは抵抗がゼロであるため、通常の導体より大きな電流を流すことができます。しかし、大電流による大きな電磁力に耐える機械的構造が必要となります。

極端な条件での注意点

非常に大きな電流(数十キロアンペア以上)が流れる場合や、導体間距離が非常に小さい場合は、導体の変形や移動が生じる可能性があります。このような条件では、機械的な固定や補強が特に重要です。

🔍 ワンポイントアドバイス: 平行導体間の力の計算では、「同方向電流なら引力、逆方向電流なら斥力」という基本原則を覚えておくと便利です。また、力の大きさは「電流の積に比例し、距離に反比例する」という関係も重要です。第3種電気主任技術者試験では、この原理を応用した短絡電流計算や機械的強度の評価に関する問題が出題されることがあります。電流値が大きい場合(特に短絡時)は、電磁力も非常に大きくなるため、実務では十分な安全係数を考慮した設計が必要です。

おっ、今日は平行導体間に働く電磁力について勉強するで!まず基本から確認しよか。2本の平行導体があって、同じ方向に電流が流れとったらどんな力が働くと思う?

平行導体に同じ方向に電流が流れていると、引力が発生します。フレミングの左手の法則によると、導体の周りには磁界が発生し、その磁界と電流の相互作用によって力が生じます。

そうや!引力が働くんや。じゃあ反対に、2本の平行導体に逆向きの電流が流れとったらどうなる?

逆向きの電流が流れている場合は、斥力が発生します。それぞれの導体が作る磁界の向きと、もう一方の導体に流れる電流の関係から、お互いを押し合う力が働きます。

よう覚えてるな!さて、平行導体間に働く力を求める式は覚えとるか?アンペールの法則から導いてみるで。まず、1本の導体が作る磁界の強さ \( H_b \) は次の式で表せるんやった:

\( H_b = \frac{I_b}{2\pi r} \)

ここで \( I_b \) は電流、\( r \) は導体間の距離や。この磁界の強さから磁束密度 \( B_b \) はどう求められるかな?

磁束密度 \( B_b \) は、磁界の強さ \( H_b \) に空間の透磁率 \( \mu \) を掛けることで求められます。

\( B_b = \mu H_b \)

先ほどの式を代入すると:

\( B_b = \mu \cdot \frac{I_b}{2\pi r} = \frac{\mu I_b}{2\pi r} \)

となります。

そうや!次に、もう一方の導体に流れる電流 \( I_a \) が、この磁束密度 \( B_b \) の中で受ける力を考えてみるで。フレミングの左手の法則を使うと、導体の単位長さ(1m)あたりにかかる力 \( F \) はどう表せるかな?

フレミングの左手の法則により、磁束密度 \( B \) の中を流れる電流 \( I \) の導体が受ける力 \( F \) は、\( F = BIl \) で求められます。

ここで単位長さ(1m)あたりを考えるので \( l = 1 \) として:

\( F = B_b \cdot I_a \cdot 1 = B_b \cdot I_a \)

先ほどの磁束密度の式を代入すると:

\[ \begin{aligned} F &= B_b \cdot I_a \\ &= \frac{\mu I_b}{2\pi r} \cdot I_a \\ &= \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \end{aligned} \]

これが平行導体間に働く力の公式です。

ええ導出やで!この式を使えば、平行導体間に働く電磁力が計算できるんや。今日はこの式を使った計算問題をやってみよか。

「2本の平行直線状導体が0.2m離れて配置されている。一方の導体に10Aの直流電流が流れており、単位長さあたり \( 1 \times 10^{-6} \) Nの引力が生じている。他方の導体に流れている直流電流を求めよ。ただし、真空の透磁率は \( 4\pi \times 10^{-7} \) H/mとする。」

まずはこの問題から何が分かるか整理してみるで。

問題文から分かることを整理します:

・2本の平行導体の距離 \( r = 0.2 \) m

・一方の導体の電流 \( I_a = 10 \) A

・単位長さあたりの引力 \( F = 1 \times 10^{-6} \) N

・真空の透磁率 \( \mu = 4\pi \times 10^{-7} \) H/m

求めるのは、もう一方の導体の電流 \( I_b \) です。

ええやん!正確に整理できてるわ。では、先ほど導いた平行導体間に働く力の式を使って、求める電流 \( I_b \) を計算してみよか。どう計算する?

先ほど導いた平行導体間に働く力の式を使います:

\( F = \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \)

この式を \( I_b \) について解きます:

\[ \begin{aligned} F &= \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \\ I_b &= \frac{F \cdot 2\pi r}{\mu I_a} \end{aligned} \]

ここに与えられた値を代入します:

\[ \begin{eqnarray} I_b &=& \frac{1 \times 10^{-6} \cdot 2\pi \cdot 0.2}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{1 \times 10^{-6} \cdot 2\pi \cdot 0.2}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{4\pi \times 10^{-7}}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{0.4\pi \times 10^{-6}}{4\pi \times 10^{-6}} \\[20pt] &=& \frac{0.4}{4} \\[20pt] &=& 0.1 \ \mathrm{[A]} \end{eqnarray} \]

したがって、もう一方の導体に流れている電流は 0.1 A です。

おー、完璧やな!計算過程も丁寧に書けとるし、最終的な答えも合ってるで。

でも、途中の計算でちょっと間違いがあるかもしれんな。\( 1 \times 10^{-6} \cdot 2\pi \cdot 0.2 \) のところをもう一度計算してみてくれるか?

すみません、確かに計算に誤りがありました。正しく計算し直します。

\[ \begin{eqnarray} I_b &=& \frac{1 \times 10^{-6} \cdot 2\pi \cdot 0.2}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{2\pi \times 10^{-6} \cdot 0.2}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{0.4\pi \times 10^{-6}}{4\pi \times 10^{-7} \cdot 10} \\[20pt] &=& \frac{0.4\pi \times 10^{-6}}{40\pi \times 10^{-7}} \\[20pt] &=& \frac{0.4 \times 10^{-6}}{40 \times 10^{-7}} \\[20pt] &=& \frac{0.4 \times 10^{-6}}{4 \times 10^{-6}} \\[20pt] &=& \frac{0.4}{4} \\[20pt] &=& 0.1 \ \mathrm{[A]} \end{eqnarray} \]

計算し直しましたが、答えは同じく 0.1 A となります。

従って答えは選択肢の(1)です。

そうやな、答えは合ってるわ。平行導体間に働く力の公式は実際の電気設備でもめっちゃ重要やで。例えば大電流が流れるバスバーとか、大型モーターの巻線なんかでは、この電磁力が問題になることもあるんや。

今日勉強した内容をまとめてみよか。平行導体間に働く力の大きさを求める式と、同方向・逆方向の電流で力の向きがどうなるかを説明してみてくれるか?

今日学んだ内容をまとめます:

1. 平行導体間に働く力の大きさを求める式:

\( F = \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \)

ここで、

・\( F \):単位長さ(1m)あたりに働く力 [N/m]

・\( \mu \):空間の透磁率 [H/m]

・\( I_a, I_b \):各導体に流れる電流 [A]

・\( r \):導体間の距離 [m]

2. 力の向き:

・同じ方向に電流が流れる場合:引力が働きます(互いに引き合う)

・逆方向に電流が流れる場合:斥力が働きます(互いに押し合う)

これはフレミングの左手の法則から説明でき、一方の導体が作る磁界ともう一方の導体に流れる電流の相互作用によって力が生じます。

ほんまええ理解やで!電気主任技術者試験では、こういう基本公式を使いこなせることが大事やからな。次は別の問題で計算の練習をしていこか。

今日のポイントは「平行導体間に働く電磁力」と「フレミングの左手の法則」やったな。特に平行導体に働く力の公式 \( F = \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \) は覚えておいてな!

はい、今日の学習はこれで終わりや。お疲れさん!

はい、お疲れ様でした先生!

今日は平行導体間に働く電磁力について学びました。特に重要な公式 \( F = \frac{\mu I_a I_b}{2\pi r} \) と、同方向の電流では引力、逆方向の電流では斥力が働くことをしっかり覚えておきます。

フレミングの左手の法則と合わせて、実際の電気設備でも重要な知識なので、しっかり復習しておきます。ありがとうございました!

解説まとめ

■ 平行導体間に働く電磁力とは

電流の流れる導体は周囲に磁界を発生させます。2本の平行な導体に電流が流れる場合、それぞれの導体は互いの磁界の影響を受け、電磁力が発生します。この力は、両導体の電流が同方向の場合は引力、反対方向の場合は斥力として働きます。この現象は送電線やバスバーなどの設計において重要な考慮事項となります。

■ 計算手順と公式

  1. 導体の発生する磁界の計算

    アンペールの法則により、直線導体から距離rの点における磁界の強さHが求められます。

    \( H_{\mathrm{b}} = \frac{I_{\mathrm{b}}}{2\pi r} \)

  2. 磁束密度の計算

    磁界の強さから空間の透磁率μを用いて磁束密度Bを求めます。

    \( B_{\mathrm{b}} = \mu H_{\mathrm{b}} = \frac{\mu I_{\mathrm{b}}}{2\pi r} \)

  3. 電磁力の計算

    フレミングの左手の法則により、導体に働く力を計算します。導体の単位長さ(1m)あたりの力の大きさは次式で与えられます。

    \( F = B_{\mathrm{b}} I_{\mathrm{a}} \times 1 = \frac{\mu I_{\mathrm{a}}I_{\mathrm{b}}}{2\pi r} \)

■ 具体的な計算例

問題条件

  • 平行な2本の導体間の距離: \( r = 0.2 \ \mathrm{[m]} \)
  • 一方の導体に流れる電流: \( I_{\mathrm{a}} = 10 \ \mathrm{[A]} \)
  • 導体間に働く力: \( F = 1 \times 10^{-6} \ \mathrm{[N/m]} \)
  • 真空の透磁率: \( \mu = 4\pi \times 10^{-7} \ \mathrm{[H/m]} \)

他方の導体に流れる電流 \( I_{\mathrm{b}} \) の計算

\[ \begin{aligned} F &= \frac{\mu I_{\mathrm{a}}I_{\mathrm{b}}}{2\pi r} \\[5pt] 1 \times 10^{-6} &= \frac{4\pi \times 10^{-7} \times 10 \times I_{\mathrm{b}}}{2\pi \times 0.2} \\[5pt] I_{\mathrm{b}} &= \frac{1 \times 10^{-6} \times 2\pi \times 0.2}{4\pi \times 10^{-7} \times 10} \\[5pt] I_{\mathrm{b}} &= \frac{4\pi \times 10^{-7}}{4\pi \times 10^{-7}} \times 0.1 \\[5pt] I_{\mathrm{b}} &= 0.1 \ \mathrm{[A]} \end{aligned} \]

結論:他方の導体に流れる電流は 0.1 [A] である。

■ 実務上の留意点

平行導体間に働く電磁力の理解と計算は、電気設備の設計・保守において重要です。